粉飾事例研究
粉飾決算とは、会社が不正な意図をもって、業績および財政状態を実際より過大または過小に表示するように人為的操作を加えた決算をいいます。例えば、下記のような手法があります。
・売上の前倒し計上、または売上の架空計上
・仕入債務を過小計上することで利益を増大
・在庫を過大に計上
・費用の資産計上
・連結すべき会社を除外 等
このようにして粉飾決算することで対外的に信用を保ち、銀行から不正に融資を受けたり、信用によって取引を拡大維持したりします。
粉飾決算は、赤字業績の企業が財政を立て直すために已む無しに行ってしまう場合がありますが、決して有効な手立てではありません。業績の悪化した企業は、金融機関から追加融資を受けようと、赤字の決算書を黒字に粉飾します。赤字のままだと金融機関の融資審査を通ることができないためです。この粉飾により追加融資が受けられ、経営者は一時的に安心できるかも知れません。しかし、これが資金繰り悪化の負の連鎖の入り口になります。
大抵、粉飾した決算書は、売上の架空計上を行っています。しかし、架空に計上した売上に対して消費税、法人税が課税され、それらを支払うことになります。粉飾しなければ、本来は支払う義務のない税です。それを追加融資として借り入れた資金で支払うことになります。
一度赤字になった会社の事業を黒字に戻すことは容易なことではありません。事業を黒字化できずに、また赤字になれば同じように粉飾を行い、追加融資によって借入をすることになります。そうすると月々の借入金の返済額が増加します。この借入金返済額の財源はどうするのでしょうか?このようにして蟻地獄にはまっていくのです。
その上、上場会社にあっては、投資家への偽りの開示となり、証券市場での投資家を欺く行為でもあり、重大な罪を犯していることになります。
明誠リサーチでは、粉飾事例の研究を行うことで粉飾に関する見識を深め、それらの情報、ノウハウをクライアントの経営に活かすことができるようにアドバイスやコンサルティングを行っています。